表彰(日本金属学会)

2019年3月20日(水) 東京電機大学東京千住キャンパスにおいて,下記の方々が受賞されました.
おめでとうございます.~

第64回 日本金属学会賞 (2019年3月20日)

若狭湾エネルギー研究センター所長・大阪大学名誉教授 中嶋 英雄 君


中嶋英雄君は,1977年東北大学大学院工学研究科博士課程修了後,米国レンスレア工科大学博士研究員,東北大学金属材料研究所助手,助教授,岩手大学工学部教授を経て1996年大阪大学産業科学研究所教授に就任した.2012年に退職後,(公財)若狭湾エネルギー研究センター所長に就任し,現在に至っている.この間,日本学術会議第22~23期会員・材料工学将来展開分科会委員長,日本金属学会主催ポーラス金属・発泡金属国際会議(JIMIC-4)組織委員長などを歴任し,材料工学の発展に貢献した.
 主な研究業績は,金属および化合物における拡散,ロータス型ポーラス金属(一方向気孔を有する多孔質金属,以下ロータス金属と呼ぶ)の製法,物性および応用開発,人工超格子・ナノ中空球の作製などの基礎物性から材料開発に至る幅広い分野において多数の先駆的研究を行なったことである.


(1) 金属および化合物における拡散に関する研究

浮遊帯溶融法を用いて従来育成の困難であった大きなチタンの単結晶を作製し,チタン中で遷移金属原子がチタンの自己拡散に比べて104~106倍もの高速拡散を起こすことを初めて見出し,格子間型機構によることを解明した.また,金属間化合物における拡散機構は複雑で未解決であったが,L12型およびL10型金属間化合物中の副格子をジャンプ経路とする拡散機構を初めて明らかにした.特に,g-TiAl単結晶を用いたチタンの自己拡散係数の測定結果は基礎データとしても重要である.さらに,準結晶中の拡散の測定を行い,準周期格子における拡散機構を解明した.このように世界に先んじて新材料の拡散機構を解明した.


(2) ロータス金属に関する研究

ガス雰囲気下で溶解凝固法でロータス金属を作製し,その気孔形態の制御方法を確立した.従来,不均一な気孔のポーラス材料しかできなかった実用合金や金属間化合物,半導体,セラミックスに連続帯溶融法を適用し気孔の均一化を成功させた.また,窒素の固溶強化を利用した窒素含有ロータス鉄が多孔質でありながら高強度であることを見出し,工作機械の部材の軽量化・高制振化をもたらした.さらに,危険性のある高圧水素を用いずに,水素化物などのガス化合物粉末の熱分解を利用した安全で簡便なロータス金属の作製法を開発した.また,凝固速度を制御した連続鋳造法を世界で初めて発明しロータス金属の低コスト・量産化を実現し工業化への道を拓いた功績は極めて大きい.
 ロータス金属の気孔の長手方向に応力負荷を加えた場合,気孔近傍にほとんど応力集中が生じないことを見出し,気孔率の増加によっても比強度がほぼ一定に保たれるという画期的な強度特性を明らかにした.また,ロータス金属は優れた衝撃エネルギー吸収特性および吸音性のあることや熱伝導度や電気伝導度は気孔の向きに依存した顕著な異方性を示すことを見出しその発現機構を解明した.
 ロータス金属の貫通気孔に冷媒を流すと従来の電子デバイスの冷却の溝型ヒートシンクの5~10倍もの優れた冷却能を有することを見出した.ロータス金属を用いたヒートシンクを開発することに成功し,従来品に比べて50%以上の小型・軽量化,低コスト化を実現しプロジェクターなどへの応用の道を拓いた.


(3) 人工超格子およびナノ中空球の創製と物性に関する研究

分子線エピタクシー法により1原子層ずつ異種金属原子を積層させることによって人工的にL10型FeAu規則合金を創製した.従来のFeAu固溶体合金にはない異方性を有する特異な光磁気特性を見出した.また,スパッタリング法によって作製されたMo/Si多層膜が極めて大きな2次元超伝導性を持つことを見出した.さらに,コア/シェル型の金属/酸化物の相互拡散におけるカーケンドール効果を利用して中空球のナノポーラス金属の作製法を確立した.



第60回 日本金属学会技術賞 受賞者 (3名) (2019年3月20日)

[原子力材料の高耐食化に関する技術開発]

新日鐵住金(株)鉄鋼研究所主幹研究員 竹田 貴代子 君

受賞者は,ステンレス鋼,ニッケル基合金,ジルコニウム合金など原子力材料の長期健全性を裏付ける技術開発に従事してきた.さまざまな腐食問題に対し,酸化皮膜/母材や応力腐食割れなど金属組織のキャラクタリゼーションを介し,使用条件に応じた材料制御(成分,金属組織)を提案し,高耐食化を図ってきた.さらに,普遍的な腐食反応の解釈は,金属材料全般の高性能化に貢献するものである.

[Nd-Fe-B 磁石の高性能化・高機能化に関する研究開発]

日立金属(株)磁性材料カンパニー磁性材料研究所開発企画グループ長 西内 武司 君

受賞者は,民間企業における永久磁石の研究者として,多岐にわたる業務に従事する中で,独自の視点で研究開発課題を設定し,多くの成果をあげてきた.特にNd-Fe-B 磁石の高性能化・高機能化に関する研究開発では,水素化-不均化-脱水素-再結合(HDDR)法で得られる磁石における二粒子粒界相の形成過程とこの相の保磁力への寄与を明らかにし,高保磁力化の実証へつなげるなど,この分野の発展に貢献している.これら一連の業績は,工業的な見地のみならず,学術的にも価値が高い優れたものである.

[新高性能高強度薄鋼板の開発と実用化]

JFE スチール(株)スチール研究所薄板研究部長 船川 義正 君

受賞者は,新薄鋼板の実用化で金属学および社会の発展に大きく貢献してきた.熱延鋼板では,300MPa程度の引張強さのフェライト鋼板を超微細析出物で数倍に高強度化することに初めて成功し,高加工性析出強化型フェライト鋼板を開発した.微細炭化物の鋼中への均一分散には,相界面析出を利用し,炭化物を3nmまで一気に微細化することに成功した.また,冷延高強度鋼板では,成分偏析の低減による組織均一化をさらに進め,980MPa級と同等の加工性で強度を1.5倍とする1470MPa級鋼板を開発した.



第69回 日本金属学会金属組織写真賞 受賞者(14名) (2019年3月20日)

優秀賞 3件(14名)

【第3部門】透過電子顕微鏡部門

1. Ti3SiC2MAX相の底面a転位の転位芯とキンク境界の高分解能STEM観察

京都大学大学院 工学研究科 准教授 岸田 恭輔 君
京都大学大学院 工学研究科 東  雅也 君
京都大学大学院 工学研究科 教授 乾  晴行 君

【第3部門】透過電子顕微鏡部門

2. リチウムイオン電池Si単結晶負極を用いた充電反応によるLi侵入方位の可視化

JFE テクノリサーチ(株) 機能材料ソリューション本部 センター長 島内  優 君
JFE テクノリサーチ(株) 機能材料ソリューション本部 課長 大森 滋和 君
JFE テクノリサーチ(株) 機能材料ソリューション本部 係長 池本  祥 君
千葉大学大学院 工学研究院 糸井 貴臣 君

【第4部門】顕微鏡関連部門

3. 3DAPとTEMの同一視野解析によるマグネシウム合金の転位芯への溶質元素の偏析と溶質クラスタの観察

物質・材料研究機構 磁性・スピントロニクス 材料研究拠点 主任研究員 佐々木 泰祐 君
物質・材料研究機構 磁性・スピントロニクス 材料研究拠点 ポスドク研究員 Bian Ming-Zhe 君
長岡技術科学大学 技学研究院 助教 中田 大貴 君
住友電気工業(株) マグネシウム合金開発部 主席 吉田  雄 君
住友電気工業(株) マグネシウム合金開発部 次長 河部  望 君
長岡技術科学大学 技学研究院 教授 鎌土 重晴 君
物質・材料研究機構 磁性・スピントロニクス材料研究拠点 拠点長 宝野 和博 君



第50回 日本金属学会研究技術功労賞 受賞者(11名)(2019年3月20日)

電磁材料研究所研究開発事業部 飯塚 昭光 君

受賞者は,入所以来40年間にわたり,様々な金属材料の試作,分析,評価に携わり新しい磁石材料および高弾性材料の開発に多大な貢献をしてきた.例として合金系では最も強力な磁石であるFe-Pt合金の研究開発に従事し,少量原料での鋳造による製造方法を独自に確立した.また,パワコロイ®等の高弾性材料では精密かつ再現性のあるヤング率測定を可能とする新たな測定技術を確立した.これらの金属材料開発にあたり合金作製技術や評価技術を確立させて新しい金属材料の発明に貢献した功績は顕著である.


日鉄住金テクノロジー(株)テクニカルサービスセンター 工藤 眞策 君

受賞者は,入社以来41年間,耐熱鋼のクリープ特性の高精度評価に貢献してきた.温度管理が最も重要なクリープ試験において,独自の試験技術によってJISよりも厳しい±2°C以内での温度制御を実現するとともに,変位検出精度を従来の10倍に高める検出機構を実用化し超高精度ひずみ測定を実現した.これら試験技術によって,STBA29/STPA29,ASME Gr.92鋼の開発では極めて信頼性の高いクリープデータベースを構築し,超々臨界圧火力発電プラントの蒸気配管等に世界中で広く使用される鋼材の成分最適化と国内外規格化を推進した功績は顕著である.


名古屋大学全学技術センター 栗本 和也 君

受賞者は,着任以来42年間に渡り,分析技術の開発・支援,実験装置や試料の製作を行ってきた.特に,物質中の酸素・窒素同時分析などの分析技術に精通し,教員・学生への技術指導も行ってきた.これにより鉄鋼・非鉄・セラミックスの開発に必要な基盤技術を築き,材料工学の発展に多大な貢献をした.さらに,大学生や高校生向けに電子回路を題材とした講習を企画・実施し,人材育成にも貢献した.以上のように,広い分野において技術開発の基盤形成に果たした役割は,非常に大きく,その功績は顕著である.


JFE スチール(株)スチール研究所 斉藤 慎悟 君

受賞者は,入社以来30年以上にわたって鉄鋼製品の研究開発のための各種実験とその性能評価を担当し,新商品開発の推進に貢献してきた.特に,超高圧水を使用する実験設備の立ち上げによるアトマイズ鉄粉や温間成形用鉄粉の新商品開発に携わるとともに,金属粉末の射出成形技術(MIM)の製造条件最適化にも大きく貢献した.その後,長年培った経験知識を基にして後輩・部下を指導,研究補助業務の精度,作業効率の向上,および安全性の向上に大きく貢献し,研究開発進展への功績は顕著である.


新日鐵住金(株)広畑製鐵所生産技術部 芝崎 幸弘 君

受賞者は,入社後10 年鋼板製造に従事,以降35年間に亘り,高品質な自動車用鋼板の開発における一貫プロセス研究開発試験に携わり,試験精度改善に向けた装置改造や評価方法を考案してきた.例として,自動車用鋼板の高強度化に伴う冷延試験工程の通板対策や鋼板表面品位に関係する高精度なスケール(酸化鉄)剥離性評価技術を確立した.また,その熱処理試験技術を伝承すべく後進の指導にも熱心に取り組み,高品質な自動車用鋼板の商品実用化に貢献した実績は顕著である.


東北大学多元物質科学研究所技術室 相馬  出 君

受賞者は,1985年に東北大学に奉職以来,半導体試料作成,X 線回折・レーザー分光,低温実験技術などを通じて一貫して研究支援に携わってきた.試料作製技術を駆使して光アイソレータの実用化に大きな貢献をした.また,MBE 装置を使用した「希薄磁性 量子井戸・量子ドットの成長」,X 線回折・レーザー分光技術を用いた「低温磁場下における顕微分光の定性分析」において重要な研究支援を担った.研究者が求める高度な技術の克服に果敢に取り組み続けており,学術研究の進展に貢献した功績は顕著である.


日鉄住金テクノロジー(株)八幡事業所 中原 和典 君

受賞者は,入社以来40 年にわたり種々のプロセス・新鋼種開発支援に従事し,実レール,溶鋼といった大重量試験体,高温融体を取り扱う試験・実験において卓越した技術を駆使し研究開発に貢献してきた.例として,実レールを用いた損傷試験,疲労試験,フラッシュバット溶接試験において,治具の設計製作に取り組み試験技術を確立し,新レール開発,損傷機構解明等の成果に繋げた功績が挙げられる.柔軟な発想と創意工夫により種々の試験技術を確立し,多くの研究開発に貢献してきた功績は顕著であり賞賛に値する.


JFE スチールプラントエンジ(株)機械メンテナンス部 中村 英生 君

受賞者は,入社以来41年にわたり,様々な研究開発支援業務に従事してきた.特に高炉のシミュレーション装置の図式変換プログラム作成や焼結機の槽内温度分布を示すプログラム開発,また製品開発においても,薄板ハイテン材や新しい建築鋼材の開発,耐食・防食研究分野では大型タンカーの孔食性を改善する材料開発等,研究開発の進展に貢献した.現在も研究開発で培った技能を駆使して研究設備の保全に携わっており,その多岐に渡る研究開発への貢献と功績は顕著である.


造幣局研究所研究開発課 服部 吉宣 君

受賞者は,入局以来37年間,貨幣製造工程の一つである圧延作業に従事後,研究開発部門に在籍し,貨幣への微細加工に関する技術開発などを行い,例として,レーザによる貨幣用金型への加工技術について,最新装置の導入・立上げから各種の微細加工技術の開発,実用化に至るまで長きにわたって貢献を続けてきた.新たなレーザによる微細加工技術は,貨幣・メダルの付加価値向上に寄与し,虹色梨地加工や梨地階調加工など,数多くの記念貨幣などのデザイン性の向上,貨幣への国民の信頼維持に欠かせない偽造防止技術の高度化にも寄与し,貨幣製造に関する研究開発ならびに社会貢献への功績は顕著である.


YKK(株)工機技術本部分析・解析センター 山形 恵子 君

受賞者は,入社以来42 年間,金属材料の機器分析や性能試験を通じて,新材料開発や開発製品評価,及び生産現場における課題やその原因調査に携わり,新商品開発と品質管理に多大な貢献をしてきた.特に,アルミニウム建材に用いられる6000系Al合金について,透過型電子顕微鏡による観察,解析を通して環境温度と時効析出との関係を明らかにし,加工プロセスの改善や材料品質の向上に成果を上げている.社内の金属材料分析において黎明期より分析体制の確立に尽力し,長年にわたり高度な分析技術構築に貢献した功績は非常に顕著である.


北見工業大学技術部 山根 美佐雄 君

受賞者は,採用以来36 年にわたり,高真空装置による薄膜作製,表面処理,表面分析などの研究支援業務に一貫して従事し,卓越した真空技術と豊富な分析経験を駆使して材料科学の発展に多大な貢献をしてきた.例として,自作プラズマ表面処理装置を活用した高品質窒化被膜形成への貢献やX 線回折およびX線光電子分光を駆使した高度分析支援が挙げられる.創意工夫を重ねた技術支援や研究者の要望に即した柔軟な対応は,学内外の研究者から高く評価されており,材料科学の研究発展に貢献した功績は顕著である.



第77回 日本金属学会功績賞 受賞者(9名) (2019年3月20日)

[物性部門]

[ナノ構造材料における機能発現メカニズムと原子的構造に関する研究]

大阪大学超高圧電子顕微鏡センター 准教授 佐藤 和久 君

受賞者は,ナノ構造材料における機能発現メカニズムの解明を主眼として,透過電子顕微鏡法に基づく新しい構造物性評価法の確立と原子ダイナミクスに関する研究に従事してきた.主な業績として,強磁性規則合金ナノ粒子の規則化過程と長範囲規則度の粒径依存性解明,希土類元素を含まない多成分系ナノ結晶合金の構造解析と硬質磁性相生成の実証,3次元ナノ構造解析の応用と新規評価法の開発研究,が挙げられる.これらの成果は,ナノスケール物質・材料の構造物性解明に寄与するものであり,今後の更なる発展が期待される.

[物性部門]

[強磁性金属ナノ構造の創製とスピントロニクスデバイスへの応用]

東北大学金属材料研究所 准教授 水口 将輝 君

受賞者は,原子レベルで表面・界面形態を制御した金属単結晶の組み合わせにより磁性体のナノ構造を創製し,それらが示す様々な機能性を巧みに利用したスピンデバイスへの応用研究を展開してきた.特に,金属の磁性ナノ超構造を用いた新しいエネルギー変換デバイスの創製とその物性解明に重点をおいて研究を推し進めてきた.最近では,強磁性金属中における熱磁気効果とスピン流の相関物性の解明や,熱電変換デバイスへの応用を見据えた研究でインパクトのある成果をあげており,今後の幅広い研究展開が期待される.

[組織部門]

[先端金属材料の微細構造解析と組織制御]

熊本大学大学院先端科学研究部 准教授 松田 光弘 君

受賞者は,主に透過型電子顕微鏡観察による先端金属材料の微細構造解析に基づく組織制御と合金設計に従事してきた.特に,熱弾性マルテンサイト変態における逆位相界面状組織の形成機構を提案するとともに,Zr-Co基合金や高強度Mg合金における長周期規則相の積層構造を明らかにしている.さらに非鉄合金では極めて稀なTRIP 現象を利用した高延性化に成功している.最近では組織制御による光エネルギー変換型フレキシブル導電性酸化物半導体の開発にも取り組んでいる.

[力学特性部門]

[無機結晶における転位コア構造と機能に関する研究]

名古屋大学大学院工学研究科 准教授 中村 篤智 君

受賞者は,セラミックス材料において転位コアの電子・原子レベル構造の解析を行い,転位コア構造がその塑性変形挙動に大きく影響することを明らかにした.また,絶縁体結晶内部への導電性細線形成に成功するなど,転位コア機能の利用が新材料開発に繋がることを証明した.さらには,無機半導体結晶において,電子やホールが光励起されない暗室環境下では金属並みのすべり変形を起こしうることを見出した.これらの発見は世界的にも大きな注目を集めており,今後の幅広い研究展開が期待される.

[材料化学部門]

[金属表面酸化物層の構造制御と機能解明に関する研究]

大阪大学大学院工学研究科 准教授 土谷 博昭 君

受賞者は,水溶液環境での金属材料の耐食機能解明および電解溶液と金属表面との反応制御による自己規則化ナノ構造創成とその応用に関して優れた業績を挙げている.主な業績として,水溶液中での金属の耐食性が不働態皮膜の構造と電子物性に密接に関連することを明らかにしたこと,様々な金属・合金表面への自己規則化ナノ構造酸化被膜形成およびその構造制御が可能であることを示したことなどが挙げられる.これらの成果をもとに,現在,金属材料学を基軸とした高機能酸化被膜創成という新規領域の開拓に取り組み,当該分野の発展に大きく貢献している.

[材料プロセシング部門]

[結晶方位解析に基づく多結晶組織由来の物性解明と材料プロセシングへの応用]

北海道大学大学院工学研究院 准教授 池田 賢一 君

受賞者は,各種電子顕微鏡法や電子線後方散乱回折法等の結晶方位解析技術を用いて,多結晶材料の組織形成機構ならびに実用材料の加工熱処理等の材料プロセシングに関する諸現象の解明に取り組んできた.主な業績として,①双結晶試料の破壊特性や粒界エネルギーの粒界性格依存性,②電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔の高機能化に及ぼす加工熱処理の影響,③自動車用合金板材の成形性に及ぼす内部組織の影響を解明してきたことが挙げられる.今後も基礎学術と工業を繋ぐ本分野の発展に寄与する幅広い研究展開が期待される.

[材料プロセシング部門]

[航空機・医療用チタン合金の組織制御・プロセス開発]

香川大学創造工学部 准教授 松本 洋明 君

受賞者は,航空機・医療用チタン合金を中心とした非鉄金属材料の塑性加工を軸とした組織制御・プロセス開発に従事してきた.代表的な成果としてチタン合金のマルテンサイト組織(a′, a″)を利用した多くの組織制御プロセスを開発し,例えば世界最高レベルの低温超塑性の発現や低弾性率・高強度化の実現に成功している.また,加工プロセス過程の高精度な組織・材質予測のためのマクロ・メゾスケール構成モデルの構築と有限要素解析を利用した計算研究も実施しており,今後の幅広い研究展開が期待される.

[工業材料部門]

[相安定性制御の概念に基づく新金属材料・工業材料の開発]

大阪大学超高圧電子顕微鏡センター 准教授 永瀬 丈嗣 君

受賞者は,相安定性制御の概念に基づいた金属材料・工業材料の開発に関する研究を一貫して行ってきた.その内容は,超高圧電子顕微鏡法を駆使した結晶ガラス結晶相転移の発見,低速電子照射電子励起反応を利用した組織制御法,ハイエントロピー鋳造合金(HEA)の開発など多岐に展開されている.特に,各地の地方独立行政法人・試験研究機関との共同研究による,「地域の強みを活かす・既存・汎用装置を用いる」の概念に基づくHEA開発には,限られた研究リソースを活用した新たな材料開発の方向性として,今後の展開が期待される.

[工業技術部門]

[超耐熱材料および耐酸化コーティングの開発]

物質・材料研究機構構造材料研究拠点グループリーダー 川岸 京子 君

受賞者は,Ni基単結晶超合金において合金元素の酸化特性に対する寄与を明らかにし,高温強度と且つ耐酸化性に優れた単結晶Ni基超合金の開発を行ってきた.世界最高の耐用温度を持つ第6世代Ni基単結晶超合金を開発し,さらにこれらの先進単結晶超合金に対応した遮熱コーティングシステムの研究により,基材の強度を低下させず複数回の補修を可能とする,耐酸化コーティングを開発した.タービン効率向上のために航空機エンジンおよび発電タービンにおいて実用化が期待されている.



第58回 日本金属学会谷川・ハリス賞 受賞者(3名) (2019年3月20日)

[異方性を基軸にした耐熱性金属間化合物の塑性挙動解明と生体材料への展開に関する研究]

大阪大学大学院工学研究科 教授 中野 貴由 君

受賞者は,耐熱性金属間化合物の塑性異方性に注目して,力学挙動解明を推進してきた.例えば,TiAl層状化合物の力学特性が,僅か10%程度しか存在しない六方晶系α2相の異方的変形モードにより支配されることを発見,MoSi2/NbSi2(C11b/C40)を代表とする遷移金属ダイシリサイドの結晶構造,相安定性に着目した異方性制御の重要性をも示した.こうした異方性を基軸に,生体骨の六方晶系アパタイト結晶に注目し,骨密度よりもアパタイト配向性を骨質指標として骨機能を解明するという生体環境での学際領域の開拓,近年では,金属AMの異方性形状・組織制御法を確立し,金属学・材料科学発展に貢献している.


[金属材料の時効析出と力学的特性に関する研究]

金沢大学大学院自然科学研究科 教授 門前 亮一 君

受賞者は,金属の時効析出,それと係る力学的性質に関する研究に長年に亘り従事してきた.特に,Cu双結晶を用いて微小粒界すべり,粒界析出物の析出と成長,粒界脆化など,粒界に係る諸現象の粒界性格依存性に関する研究,Fe母相中の微小Cu析出粒子の相変態挙動の解明,CuやAl合金中の析出物の粗大化過程,電子・電気機器部品などに使われる析出硬化型銅合金の高性能化,析出物の形成と成長への応力効果など,幅広い領域において顕著な業績を上げ,この分野の発展に貢献してきた.


[超高温材料の創製と超高温特性の評価に関する研究]

東北大学大学院工学研究科 教授 吉見 享祐 君

受賞者は,長年にわたってMo-Si-B 系を中心とした超高温材料の学術研究並びにその技術開発に従事し,世界の当該分野をリードしてきた.とりわけMoSiBTiC 合金の発明は,これまで解決困難とされてきた高温クリープ特性と室温破壊靭性の両立を実現し,熱機関の高効率エネルギー変換に向けた超高温金属材料の可能性の高さを示した.また,超高温場の創製技術や超高温クリープひずみ計測技術,超高温材料合成技術等の開発にも注力するなど,超高温金属材料の創製と発展に大いに貢献した.



第25回 日本金属学会増本量賞 受賞者(1名) (2019年3月20日)

[ナノ・メゾ構造を制御した高機能材料の創製に関する研究]

京都大学大学院工学研究科 教授 乾  晴行 君

受賞者は,材料の機能特性の発現メカニズムをナノ・原子レベルに遡って広汎な材料について解明し,先駆的な成果を挙げた.物性発現の基礎となる学理の構築だけでなく,学理に基づいた特性改善・新材料開発で産業からも高い評価を受ける数々の重要な成果を挙げた.具体例としては,格子欠陥制御による水素吸蔵合金の吸蔵・放出圧力制御,ポリモルフ制御による熱電変換材料の特性改善,ミクロ組織制御による溶融亜鉛めっき鋼板の防食特性制御などが上げられ,一連の成果は世界的に高く評価されている.



第30回 日本金属学会若手講演論文賞 受賞者(3編3名) (2019年3月20日)

[急冷処理による酸素過剰添加チタン材の延性向上とその機構解明]

(会誌82巻10号)
大阪大学大学院工学研究科 ○刈屋 翔太 君
大阪大学接合科学研究所 准教授 梅田 純子 君
RMIT Manufacturing, Materials and Mechatronics Professor  Ma Qian 君
大阪大学接合科学研究所 教授 近藤 勝義 君

[巨大ひずみ加工により作製された超微細粒銅の引張せん断試験での結晶粒の微細化と粗大化]

(会誌82巻11号)
東京工業大学物質理工学院 ○松谷 亮輔 君
東京工業大学(現・金沢大学准教授)  宮嶋 陽司 君
東京工業大学物質理工学院 教授 尾中  晋 君

[Metal-Metal Joining Using Super-Spread Wetting into Interface Fine Mesh Structure]

(Materials Transactions, Vol.59, No.11)
大阪大学大学院工学研究科 ○延  在鳳 君
National Cheng Kung University, Graduate Student Yen-Man Yen 君
大阪大学大学院工学研究科 助教 中本 将嗣 君
大阪大学大学院工学研究科 教授 田中 敏宏 君



第2回 日本金属学会フェロー認定者 (1名) (2019年3月20日)

 東北大学マイクロシステム融合研究開発センター 教授 田中 俊一郎 君


日本金属学会新名誉員 (2名)

 東北大学 名誉教授 石田 清仁 君
 名古屋大学 名誉教授 森永 正彦 君



第32回 優秀ポスター賞受賞者者 27名

(2019年3月21日受賞決定) (五十音順)

1 Ti-V 合金におけるマルテンサイト変態の原子論的機構に関する第一原理解析(P106)

大阪大学 市岡航平 君,君塚肇 君,尾方成信 君

2 Ti-7.5Cr-7Al 超弾性合金の相と機械的性質に及ぼす時効熱処理の影響(P84)

東京工業大学 岩崎真也 君,田原正樹 君,細田秀樹 君

3 金属結晶粒界物性の包括的理解のための情報科学解析(P130)

東京大学 大谷龍剣 君,清原慎 君,杉森悠貴 君,溝口照康 君

4 Ga2O3中の自己束縛正孔の第一原理計算(P129)

東京工業大学 我毛智哉 君,熊谷悠 君,大場史康 君

5 ペロブスカイト化合物CsSnI3の第一原理フォノン計算(P68)

九州工業大学 河野翔也 君,飯久保智 君,
物質・材料研究機構 只野央将 君

6 窒化クロム薄膜の結晶性が電気抵抗率に及ぼす影響(P70)

長岡技術科学大学 木下堪太 君,水野遊星 君,中山忠親 君,末松久幸 君,鈴木常生 君

7 優先成長方位の遷移に伴う一方向凝固組織の形態変化のフェーズフィールド・シミュレーション(P35)

北海道大学 金根佑 君
京都工芸繊維大学 高木知弘 君,坂根慎治 君,
東京大学 澁田靖 君,
北海道大学 松浦清隆 君,大野宗一 君

8 Pd触媒コーティングフリー・バナジウム膜の水素透過能に及ぼす表面酸化・還元処理の影響(P19)

鈴鹿工業高等専門学校 白數祐哉 君,南部智憲 君,小俣香織 君,池畠博人 君,
名古屋大学 湯川宏 君,
大分工業高等専門学校 松本佳久 君

9 走査透過型電子顕微鏡法によるイオン液体中単原子イオンの動的挙動の3次元解析(P133)

東京大学 杉森悠貴 君
東北大学 宮田智衆君,溝口照康 君

10 Co-20Cr-10Mo-xNi合金の加工硬化挙動に及ぼす変形誘起HCP相/変形双晶の影響と塑性変形モデルの適用(P25)

筑波大学 田崎亘 君
物質・材料研究機構 土谷浩一 君

11 超高真空中で作製したPt/SnO2(110)ナノ構造の電気化学特性(P48)

東北大学 千田祥大 君,千田祥大 君,工藤大輔 君,楠木啓介 君,轟直人 君,和田山智正 君

12 Ti,Cr,Alを共添加したMoSiBTiC合金のミクロ組織と耐酸化性(P9)

東北大学 束村基行 君,黄金崎琢也 君,吉見享祐 君

13 外熱式DACを用いたX線吸収法による高圧下での液体Ga密度測定(P38)

大阪大学 鶴岡椋 君,寺崎英紀 君,
東北大学 鎌田誠司 君,前田郁也 君,
大阪大学 近藤忠 君,
JASRI/SPring-8 平尾直久 君

14 細胞と金表面の相互作用のシミュレーション(P76)

京都大学 出口聡一郎 君,林優歩 君,横山遼君,袴田昌高 君,馬渕守 君

15 Effect of grain size on mechanical properties of Cu-Zn binary alloys(P119)

京都大学 DENG Zhangfan 君,白玉 君,Park Myeong-heom 君,柴田曉伸 君,辻伸泰 君

16 STEMによるガラス内相分離現象の実空間局所濃度解析(P132)

東京大学 中澤克昭 君,溝口照康 君

17 構造制御によるマグネシウム基コンポジットの高機能化に関する基礎研究(P82)

神戸大学 中野加菜 君,池尾直子 君,
大阪産業技術研究所 渡辺博行 君,
神戸大学 向井敏司 君

18 Effect of titanium plate fixation on bone formation during healing period(P83)

近畿大学 Norain Binti Abdullah 君,仲井正昭 君,Yuki Kawamura 君,Ei Yamamoto 君,
東北大学 新家光雄 君

19 X 線プロファイル解析を用いた純Mgにおける活動すべり系の粒径依存性評価(P104)

兵庫県立大学 平田雅裕 君,山下雄大 君,足立大樹 君

20 Near-αTi合金の加工条件による組織形成過程とクリープ特性(P116)

芝浦工業大学 増山晴己 君,島上渓 君,
物質・材料研究機構 戸田佳明 君,松永哲也 君,
富山県立大学 伊藤勉 君,
芝浦工業大学 下条雅幸 君,
物質・材料研究機構 御手洗容子 君

21 水中結晶光合成法における光の効果と表面パターニング応用(P69)

北海道大学 水野潤一 君,Melbert JEEM 君,高橋優樹 君,渡辺精一 君

22 ミルフィーユ構造を模擬したMg基複相一方向性凝固合金の組織,力学特性評価(P95)

大阪大学 三好康介 君,早川恭平 君,萩原幸司 君

23 チタンの相安定性に及ぼす酸素および空孔添加効果の理論解析(P85)

愛媛大学 村上太悟 君,小林千悟 君,岡野聡 君

24 pH分布測定システムを用いた大気腐食環境におけるAl表面のpH変化(P44)

関西大学 望月哲 君,西田健太朗 君,廣畑洋平 君,春名匠 君

25 CoCrFeMnNi高エントロピー合金の相構成および硬さに及ぼす元素添加の影響(P131)

北海道大学 山中柊生 君,三浦誠司 君,池田賢一 君

26 ボールミリングを用いたMg2Siの低温・短時間合成法の確立(P22)

茨城大学 山本悠眞 君,Alinejad Babak 君,池田輝之 君

27 Al-3 mass%Cu合金における一次デンドライトアーム間隔の成長速度依存性の計算(P34)

北海道大学 Jaehoon Lee 君,京都工芸繊維大学 高木知弘 君,
東京大学 澁田靖 君,
北海道大学 松浦清隆 君,大野宗一 君




第27回 日本金属学会・日本鉄鋼協会 奨学賞 受賞者 47名(2019年3月)

北海道大学工学部 川口 貴大 君

北海道大学工学部 辻  莉緒 君

室蘭工業大学工学部 西村  肇 君

岩手大学工学部 阿部 貴之 君

秋田大学理工学部 白井 康太 君

東北大学工学部 井上 蒼太 君

東北大学工学部 金  美賢 君

東北大学工学部 梁  生平 君

茨城大学工学部 黒木 颯仁 君

筑波大学理工学群 上村 尚暉 君

東京大学工学部 中島 彰子 君

東京大学工学部 ポア ユーユー 君

東京工業大学工学部 後藤 愛生 君

東京工業大学工学部 佐藤 瑞起 君

横浜国立大学理工学部 須田 一輝 君

長岡技術科学大学工学部 石橋 尚也 君

富山大学工学部 花岡 銀河 君

豊橋技術科学大学工学部 杉浦 幹亮 君

名古屋大学工学部 石黒 廉吉 君

名古屋大学工学部 星野 聖奈 君

名古屋工業大学工学部 佐久間 洋太 君

京都大学工学部 浅原 脩悟 君

京都大学工学部 川田 稀士 君

大阪大学工学部 辻本 知輝 君

大阪大学工学部 藤當  翼 君

島根大学総合理工学部 長瀬 侑弥 君

香川大学工学部 末武 弘行 君

愛媛大学工学部 深田 基史 君

九州大学工学部 岩崎 晃久 君

九州大学工学部 竹之内 優志 君

九州工業大学工学部 川端 智也 君

長崎大学工学部 隈  成輝 君

熊本大学工学部 石塚 大貴 君

大阪府立大学工学域 中村 天斗 君

兵庫県立大学工学部 吉田 一輝 君

千葉工業大学工学部 濱田 輝哉 君

東京理科大学基礎工学部 福本 汐音 君

芝浦工業大学工学部 師岡 弘一 君

東海大学工学部 上久保 篤志 君

金沢工業大学工学部 日向 直之 君

関西大学化学生命工学部 石川 佳樹 君

近畿大学理工学部 東  嵩晃 君

鹿児島大学工学部 竹ノ内 泰征 君

金沢大学理工学域 宮本 健太 君

群馬大学理工学部 石川 友博 君

鈴鹿工業高等専門学校専攻科 村山 龍太郎 君

仙台高等専門学校専攻科 鈴木 滋人 君


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