年頭のご挨拶

公益社団法人 日本金属学会 会長 乾  晴 行

乾会長

新年,明けましておめでとうございます.皆様にはご健勝で新年をお迎えのこととお慶び申し上げます.

昨年は,2月の北海道胆振中東部を震源とする地震,8月の九州北部豪雨,9月の台風15号,10月の台風19号など様々な自然災害が日本を襲いました. 被災者の方々には心よりお見舞い申し上げます. 私も10月に大韓金属・材料学会への表敬訪問の帰途,豪雨・洪水の発生により成田空港で長時間の足止めに遭遇いたしました. このように近年多発する激甚な自然災害は,人類の活動に起因した激しい気候変動によると多くの研究者が述べており,社会基盤に対する防災,エネルギー・環境問題の解決に材料科学・工学の立場から積極的に寄与できる学会活動を企画・推進することの大切さを痛感しています. 一方で,昨年は,元号が令和となり,10月には海外から多くの賓客を招いて即位礼正殿の儀も執り行われ,祝賀ムードに包まれました. ラグビー・ワールドカップでサクラの戦士の大活躍には日本中が沸き立ち,まさに新たな時代の到来を予感させます. 本年は,日本金属学会にとってもそのような活気に満ちた明るい年にできればと考えています.

これらを踏まえ本年も公益社団法人として,引き続き公益目的事業を公正かつ適切に推進して参ります. 昨年から新たに開始した取り組みを事業毎に簡単に列挙すると,日本金属学会誌および Materials Transactions 誌の完全電子ジャーナル化,Materials Transactions 誌のフリーダウンロード論文導入(刊行事業),講演大会一般講演のセッション改編,公募シンポジウム及び企画シンポジウムの企画促進(講演会・講習会事業),9 分科への分科改編や研究助成「金属学会フロンティア研究助成」の新設(調査・研究事業)などです. 特に,表彰・奨励事業では,各種賞の重み,権威を高め,かつ,学会の将来を担う若手研究者を奨励できるよう各種表彰内容,選考方法等の見直しを行っています. また,庶務事業では,産業界も含めて,積極的で優秀な人材を広く募るために代議員及び理事等の役員の選出方法の見直しを行っています. 会員数減少抑止に対しても引き続き積極策を推進して参ります.

学会の活性化には,多数の会員で取り組める魅力ある研究テーマや潤沢な研究資金が多くの会員に行き渡ることが大変重要と考えます. 幸いなことに,現在,本会会員を研究代表者及び主たる研究分担者とした科学研究費新学術領域研究が4領域,新規な科学技術振興機構 CREST 研究が 4 プロジェクト,すべて同時に実施・進行されています. 学会の活性化に必要な魅力ある研究テーマや研究資金の流布が達成されており,本学会の過去を振り返っても,このように学術活動が充実している学会は,数少ないと思います. 各研究領域及び領域を支える個々の研究者の皆様の日々のご研鑽に心より敬意を表します. この状況は,1961年1月に行われたジョン・F・ケネディー大統領のあの有名な就任演説の一節を私に思い起こさせます. 「…ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.」. あまりに有名な一句で「自己の利益を考えずに,いかなる寄与を国にできるかを考えて欲しい」との意味ばかり強調されますが,就任演説全体を通しては「このような個々の努力・研鑽が,人類の共通の敵に立ち向い自由を大切にする理想の国家の建設を可能にする」と問うています. 学会はこれまで以上に個々の会員の皆様の研究活動がスムースに行えるよう会員サービスを充実させて参ります. 同時に,個々の会員の皆様の日々の研究活動の積み重ねが,活発で充実した理想の学会を作り上げるものと思います. 本年も,活発で明るい学会となるよう皆様方の積極的な研究・学会活動をお願い申し上げる次第です.

最後になりましたが,会員の皆様のご健勝とご発展を祈念しまして年頭のご挨拶とさせて頂きます.

2020年1月1日