2021年度に活動終了した若手研究会成果報告

No. 5 若手研究グループ「次世代高性能磁性材料研究グループ」 活動最終報告書
活動期間:2019年3月~2022年2月(3年間)
活動目的
 本研究グループは,グリーン社会やSociety 5.0社会の発展に欠かせないキーマテリアルである磁性材料について,今後の更なる高性能化には用途に応じた高度な材料設計が必要であり,材料研究者とユーザーの若手研究者間の横断的な交流が不可欠である.本研究グループは磁性材料,磁性微粒子,先端組織観察,理論計算,モータ設計と多分野にわたる若手研究者らで構成され,若手研究者間の横断的な交流の場を提供する.さらに,産業界からも積極的に研究者を招聘し,次世代モータなど産業界の今後の展望や課題などについて忌憚なく議論する.それによって,現状の磁性材料の課題抽出を行い,次世代の磁性材料開発指針を獲得するとともに,産官学の若手研究者間の交流の促進を目的として活動してきた.
活動概要(実施状況・成果等)
 本研究グループでは研究会を3回,公募シンポジウム1回,運営委員会を6回開催した.2019年7月に開催した第一回研究会では6名の産業界の研究者ならびに気鋭の若手モータ研究者を招聘した.対面形式で行った研究会の参加者は51名と会場が満席になるほど多く,磁性開発の現状と動向,そして最新のモータ設計とその評価技術など,幅広い内容の研究会を行い,活発な討論を行った(図1).第二回研究会は2020年2月に計画し,招待講演5件に加え新たにポスターセッションを設けることで研究者同士の交流を促す予定であったが,新型コロナウイルス感染症の急拡大により,やむを得ず中止となった.第三回研究会は2021年2月にオンラインで開催した.同研究会では,経済産業省,企業,国研と,産官学の若手研究者から6件の基調講演があった.レアアースを中心とした我が国の資源戦略から次世代磁石材料開発,そして最新のモータ開発状況等について注目度の高い講演がなされた.本研究会には145名(申込者数164名)が参加し,磁性材料には欠かせない希土類元素やCoなどについてサプライチェーン等の現状と解決すべき課題を共有し,さらに希土類の有効利用を可能にする磁性材料などについて活発な議論が行われ,盛況な研究会となった.
 2022年3月の春期講演大会では本若手研究グループが公募シンポジウムを主催し,本グループの活動を通して培った人脈を生かし,これまで本学会とは縁遠かった方々を含めた23件の講演がなされ,常時80名程度が参加する,充実したシンポジウムの開催に至った.
若手研究グループ世話人:松浦昌志(東北大学)



No. 6 若手研究グループ「生体用金属・セラミックス材料の生体外評価に関する標準化検討グループ」 活動最終報告書
活動期間:2019年3月~2022年2月(2+1年間)
活動目的
 生体材料は,材料学的な基本特性(たとえば強度,延性など)に加えて,細胞やタンパク質の接着性,骨形成能,抗菌性,といった生体との反応性(挙動)の制御も必要であり,これらの評価は生体材料独特の項目である.しかし,標準化された評価方法は確立されておらず,研究者が自ら評価方法を確立している状況である.そのため,論文等に記載されているデータを研究者間で比較することができず,その材料の特性が十分に理解されているとは言い難い.そこで本研究グループでは,生体用金属系およびセラミックス系材料について,(Ⅰ)細菌培養試験による抗菌性評価および(Ⅱ)細胞培養試験による生体組織と材料の反応性評価,に着目し,生体内における表面反応を理解し,これまで行われてきた評価方法を整理するとともに,新規評価方法の検討を目的とした.
活動概要(実施状況・成果等)
 構成員として大学・国研のみならず,医療用材料およびデバイスを扱う企業の若手研究者にも参画していただいた.金属材料(TiやMgおよびその表面処理材,特に近年生体応用が着目されている積層造形体等の3次元構造)およびセラミックス(主にリン酸カルシウム系)に対して,細胞との親和性および抗菌性という切り口から,その評価方法の現状と課題について調査および議論を行ってきた.

 初年度である2019年度は,構成員による計4回(うち1回はキックオフ)の会議を行い,調査結果の報告および議論を行った.会議は構成員の所属する大学の会議室等で行い,各会議後にはホストの構成員の実験室見学および研究内容の紹介を行った.

 現在規格化されている評価方法および実際にラボ(論文)レベルで行われている評価方法について,各構成員が調査した結果の報告を行った.

 2020年度はコロナ禍の影響により対面での研究会は開催せず,メールベースによる打ち合わせおよび各構成員による調査を行った.

 2021年度はシンポジウム開催に向けてオンライン会議を開催した.シンポジウムタイトル,方針について話し合いを行い,基調講演者候補を挙げてもらった.実施形式としては,独自のシンポジウム開催も検討したが,日本金属学会第七分野(生体・医療・福祉)委員長および副委員長らと相談し,2022年春期講演大会の中で開催することとした.

 本シンポジウムでは,細菌や細胞を用いた材料評価について,その原理,基礎から実際の評価方法について,研究者,評価機関,企業の方から5件の基調講演を頂いた.加えて,研究グループの成果について,5件の発表を行った.昨今の新型コロナウイルス蔓延に関連して,各界から抗菌・抗ウイルスに強い関心が寄せられており,本シンポジウムもタイムリーな話題を提供することができた.

 本活動を通して,企業との共同研究や共同での研究費獲得につながったものもあり,大きな成果と考えられる.今後は,日本金属学会内だけではなく,他学会との連携も含めて,本分野の学理構築,標準となる評価方法確立へとつなげていきたい.
若手研究グループ世話人:上田恭介(東北大学)