研究会最終報告

No.74「チタン製造プロセスと材料機能研究会」
成果報告書
活動期間:2014年3月~2019年2月(5年間)
研究会世話人:成島尚之(東北大学)
1. 研究会活動目的
 チタンの生産量は世界的に着実に増加しているものの,展伸材出荷量は年間10~15万トン程度に留まっている.この原因はKroll法に基礎をおく還元およびその後の溶解・塑性加工など各プロセスの難しさに起因したチタンとその合金の高価格にある.近年,新製錬法,精錬機能を備えた溶解法,低廉原料を利用した展伸材の製造,積層造形法を含めた粉末冶金法などにおいて新しいプロセスが提案されている.本研究会では,これらのチタン新規製造プロセスと材料機能の関係を明らかにし,低コスト・高機能なチタンおよびチタン合金の創製を目指す.
2. 研究会活動概要(実施状況・研究会成果等)
 毎年テーマを決め,その分野の状況を3名の講師にレビューしていただくと共に,最新の研究に関して発表していただく講演会を関西大学にて開催した.各回とも,40名以上の出席があり,活発な議論が行われた.なお,同日午後に同会場にて,日本鉄鋼協会チタンフォーラムを開催した.本フォーラムは主に産側からの講演であり,学側がメインの本研究会との相乗効果が得られた.以下に,各回のテーマと講師および講演タイトルを示す.
 第1回(2015.1/30) 「チタン合金における元素機能とプロセス」
 1.東北大学 仲井正昭「固溶酸素を利用した生体用b型Ti-Cr合金の機能改善」
 2.物材機構 佐原亮二「b型Ti-X合金の電子状態と相安定性の理論解析」
 3.関西大学 池田勝彦「Ti-Mn系低コスト合金の開発」
 第2回(2016.1/29) 「チタン製精錬プロセス研究の現状と課題」
 1.関西大学 竹中俊英「超高温溶融塩を用いたTiの電解製造」
 2.京都大学 宇田哲也「溶融合金を介したチタンの連続製錬法の提案」
 3.東北大学 竹田修「金属熱還元法に基づくチタンの製造プロセス」
 第3回(2017.1/13) 「チタンの計算材料科学の現状と展望」
 1.名古屋大学 塚田祐貴「Ti-Nb-O系合金における組織形成と力学応答のシミュレーション」
 2.大阪府立大学 上杉徳照「Ti合金の相安定性,弾性率,格子変形ひずみにおける合金元素の影響の第一原理計算」
 3.東北大学 小泉雄一郎「Ti合金の変形と組織形成の計算機シミュレーション」
 第4回(2018.1/26) 「チタンの高温プロセスと特性」
 1.香川大学 松本洋明「航空機チタン合金の熱間加工プロセス(高温変形過程)における組織変化とFEM解析」
 2.物材機構 御手洗容子「near-aTi合金の組織変化と特性」
 3.東北大学 成島尚之「Tiの高温酸化に及ぼすSiの影響に関する実験的・計算材料学的研究」
 第5回(2019.1/25) 「新しいチタンの製造プロセス」
 1.大阪大学 石本卓也「Additivemanufacturingによるチタン基合金の結晶配向制御と機能化」
 2.東北大学 成島尚之「水素プラズマを利用したチタン融体からの酸素除去の可能性」
 3.北海道大学 鈴木亮輔「硫化物を用いたチタン精錬」
 チタンの製錬から加工熱処理による組織制御,計算材料科学を用いた組織予測まで,チタン製造プロセスの全てを網羅することができた.
 3. 成果の公表先 MaterialsTransactionsに投稿予定
4. 研究会世話人
 成島尚之(東北大)(代表),新家光雄(東北大),池田勝彦(関西大),塙 隆夫(東京医科歯科大),中野貴由(大阪大),古原 忠(東北大),小林千悟(愛媛大),稲邑朋也(東工大)



No. 71「グリーンエネルギー材料のマルチスケール創製研究会」
成果報告書
活動期間:2013年3月~2018年2月(5年間)
研究会世話人:連川貞弘(熊本大学院自然科研究)
1. 研究会活動目的
 東日本大震災を機会に,持続可能な低炭素社会の構築とともに安全安心なエネルギーの確保が重要な課題となっている. 本研究会は,材料科学の立場から,長期的-短期的視野に立って,太陽光発電や廃熱利用などの新規グリーンエネルギー変換システム用材料の創出と共に,超々臨界発電や超高温熱機関などの従来技術の高効率化を実現するための方策について研究を推進していくことを目的として設立した. 本目的を達成するためには,これらを構成するエネルギー材料の構造を原子レベルから実寸レベルまで有機的に結びつけ,マルチスケールでデザインを可能にする材料科学的アプローチが求められる. 本研究会は,平成20年度-24年度に活動した「格子欠陥制御工学研究会」の実績を踏まえ,規則度や格子欠陥の構造,配列の原子論的解析や不純物,非化学量論などに由来する局在的な量子効果,ナノからミクロレベルにおける微細組織のキャラクタリゼーションとその制御,そしてミリから実寸レベルにおける階層構造化技術や材料特性の評価など,グリーンエネルギー材料に対するマルチスケール創製の設計原理確立に向け,効率よく研究を推進するための議論の場として活動する.
2. 研究会活動概要
 研究討論会を年1回,計5回行った. 第1回は熊本県上天草市で参加者48名(大学・国立研究機関教職員26名,大学院生22名),第2回は島根県松江市で参加者34名(大学・国立研究機関教職員21名,民間企業1名,大学院生12名),第3回は沖縄県南城市で参加者28名(大学・国立研究機関教職員15名,民間企業1名,大学院生12名),第4回は宮城県南三陸町で参加者は38名(大学・国立研究機関教職員20名,民間企業1名,大学院生17名),第5回は福岡県太宰府市で参加者32名(大学・国立研究機関教職員17名,民間企業1名,大学院生14名)であった. また毎回,中堅以上の教職員・研究者全員の投票に基づいて,大学院生,ポスドク,若手研究者の発表の中から優れた発表をした者に対して「Distinguished PaperAward for Young Scientists」を授与した. 受賞者は,第1回が遠藤一輝君(東工大)中村明穂君(東大)横井達矢君(阪大),第2回が鈴木詩織さん(北大)野田圭介君(熊本大)山形遼介君(東北大),第3回が海瀬晃君(東工大)趙覓さん(東北大),第4回が古嶋佑帆君(名大)Taywin Buasri君(東工大)上村宗二朗君(熊本大),第5回が岩崎真也君(東工大)楓杏子さん(熊本大)であった. 受賞者には,賞状を贈った.
 本研究討論会では,比較的たっぷりとした講演時間(35分-45分)の中で高いレベルの研究発表と,異なる専門分野の立場から多くの意見が述べられ,座長がプログラム進行に苦慮するほどの白熱した議論が繰り広げられた. また,本研究会は合宿形式で毎回行なっており,夕食後には,大学院生のポスター発表を別途行い,深夜にも及ぶ熱い議論が交わされた.
3. 成果の公表
 Materials Transactions誌に本研究会の成果を中心とする特集号を企画する予定であり,特に,Distinguished Paper Award forYoung Scientists受賞の若手研究者の積極的な投稿を依頼している.
4. 研究会世話人
 連川貞弘(代表)(熊本大),木村好里(東工大),田中幸治(産業技術総合研),田中克志(神戸大),細田秀樹(東工大),吉見享祐(東北大)



No. 69「エレクトロニクス薄膜材料研究会」
成果報告書
活動期間:2013年3月~2018年2月(5年間)
研究会世話人:松尾直人(兵庫県立大学 大学院工研究科)
1. 研究会活動目的
 低炭素化社会の為の次世代電子・情報・エネルギー素子として,従来の半導体材料,及びプロセスに踏襲されない革新的機能を有する電子デバイスが要求されている.本研究会では,革新的機能を有する電子デバイスに繋がる新たなエレクトロニクス材料について検討する.
2. 研究会活動概要
 以下の様に5回の研究会を開催した.各回共,新しいエレクトロ二クス薄膜材料に繋がる,活発,且つ有益な議論が展開された.

第1回:
「最先端エレクトロニクス素子と機能材料研究の最近の動向」(2013/9/20,阪大),1「GaNが創るグリーンテクノロジー」上田大助,2「透明酸化物材料で創る未来のディスプレイ」浦岡行治,3「強誘電体薄膜の新展開~振動発電からTHzまで~」藤村紀文,4「電子デバイスへのCu配線形成のための金属材料学的アプローチ」伊藤和博,5「Si系半導体の放射光による低温結晶化とデバイス応用」松尾直人

第2回:
「最先端電子・情報素子と機能材料研究の動向」(2014/9/25,名大),1「ナノ薄膜・ナノ細線・ナノ粒子構造による電子の量子制御とエレクトロニクス応用」榊裕之,2「新しいIV族半導体材料の開発とシリコンナノエレクトロニクスへの応用」財満鎭明,3「新世代電子デバイス開発に向けたナノ電子材料分析と物性制御」宮崎誠一,4「最先端プラズマ科学が拓く電子デバイス・機能材料プロセッシング」堀勝,5「分極半導体としてのInAlGaNとデバイス応用」天野浩,6「複合酸化物薄膜の原子構造制御」山本剛久

第3回:
「電子・情報・エネルギー素子と機能材料の最近の研究」(2015/9/17,九大),1「リン化法を用いたカルコパイライト型リン化物の成膜と太陽電池への応用」野瀬嘉太郎,2「ハーフメタル型電子状態を有するホイスラー合金の磁性と相安定性」梅津理恵,3「電気磁気効果に基づく垂直交換磁気異方性の電界誘起方位反転」白土優

第4回:
「第3回に同じ」(2016/9/22,阪大),1「GaAs中のEr発光中心とフォトニック結晶光ナノ共振器との相互作用」児島貴徳,2「次世代パワーエレクトロニクスにおける焼結接合を用いた高耐熱実装技術」長尾至成,3「ナノ構造を用いた熱電特性制御とSi系熱電材料開発」中村芳明

第5回:
「同上」(2017/11/2,兵県大),1「Eu添加GaN波長超安定・狭帯域赤色LEDの新展開」藤原康文,2「ダイヤモンド結晶および電子デバイスの現状と展望」小出康夫,3「電子デバイスにおける原子層堆積技術の有効性」生田目俊秀,4「半導体基板上で膜タンパク質が機能するナノバイオデバイスの構築」住友弘二,5「金属酸化物薄膜の機能性と新規電子デバイスへの展開」奈良安雄,6「金属元素の添加による鉄酸化物薄膜の高機能化」阿部世嗣,7「半導体結晶によるナノとマクロの協奏―原子レベルの結晶制御によるテラヘルツ波の高出力発生と社会インフラに対する非破壊検査応用―」田邉匡生,8「印刷プロセス太陽電池色素増感型太陽電池,CIGS,ペロブスカイト,シリコン」伊藤省吾,9「DNA/SiMOSFETの電気特性とその応用」松尾直人
3. 成果の公表
 日本金属学会誌に投稿予定.
4. 研究会世話人
 藤原康文(阪大),小出康夫(NIMS),生田目俊秀(NIMS),阿部世嗣(電磁研),小山裕(東北大),伊藤和博(阪大),松尾直人(兵県大)