日本金属学会 2022年度オンライン教育講座開催 各講座要旨

新設 オンライン教育講座がはじまります!


2日間の集中講義形式
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完全オンライン

新型コロナウイルス感染症が拡大する中,日本金属学会ではwithコロナ時代を見据えたセミナーやシンポジウムのあり方を検討し,会員向けサービスの向上や,若手や学生の教育・育成を目的とした基礎教育講座を完全オンラインで始動いたします.本会ではこれまでに刊行した教材や会報 「まてりあ」 に掲載された講義ノート・入門講座・解説記事などを有効に活用し,執筆者やフェローによる講義をシリーズで開催いたします.

1. 結晶学の基礎 (8月25日,26日開催)

講師 早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構客員教授,京都大学名誉教授 松原英一郎

本講座では,一定の周期で配列した原子あるいは分子からなる物質の構造,すなわち「結晶構造」を理解する上で必要な知識と,この結晶構造を明らかにするための最も一般的な実験ツールであるX線回折について学びます.


2. 状態図・相平衡・拡散の基礎(10月4日,5日開催予定)

講師 物質・材料研究機構 大沼郁雄,名古屋大学准教授 塚田祐貴,東京工業大学名誉教授 梶原正憲,
   物質・材料研究機構 阿部太一

状態図は,「材料設計の地図」であると形容されるように,目的のミクロ組織を得るため,製造プロセスの最適化のための重要な役割を担っています.現在では,カルファド法による状態図計算が広く行われており,多くの熱力学計算ソフトウェアや熱力学データベースが市販・公開され,材料開発に用いられています.本講座では,ミクロ組織の形成過程を理解するために必要となる状態図・相平衡・拡散理論に関してそれらの基礎から解説を行います.


3. 材料強度の基礎(10月20日,21日開催予定)

講師 九州大学名誉教授 東田賢二

本セミナーではまず,(1)結晶塑性学の基盤となる転位論の基礎,(2)種々の結晶構造における転位構造の特徴とその強度特性との関係,(3)各種強化機構の基礎等について述べます.さらに材料破壊の基礎についても材料科学的な立場から論述します.そこでは,(4)材料破壊の基盤としてのクラック論基礎,(5)転位-亀裂相互作用を通して破壊靭性について考えます.水素脆化の問題についても触れたいと思います.


4. 金属製錬の熱力学(11月17日,18日開催予定)

講師 東京大学名誉教授 月橋文孝

金属製錬は、鉱石から酸素や硫黄、不純物を除去して目的の金属を得る技術として、現代社会の構築に大きく貢献してきました。資源の枯渇や地球温暖化が進み、低品位鉱石や都市鉱山の活用が求められ、カーボンニュートラルに向けて様々な取り組みがなされる中、その重要性はさらに高まっています。
 本講義では、高温反応での乾式製錬に焦点をあて、その原理となる化学熱力学における化学ポテンシャル、相平衡、状態図などの基礎概念や法則について解説します。さらに、不純物除去のためのスラグ-金属-気体間平衡反応など製錬プロセス解析への化学熱力学の活用について解説します。これらは同様に化学熱力学を活用する湿式製錬や電解精錬を学ぶ上での基礎にもなります。


5. 金属材料の耐環境性(1)水溶液腐食の基礎―平衡論・速度論(12月開催予定)

講師 北海道大学名誉教授 大塚俊明,東北大学教授 武藤 泉,東京工業大学教授 多田英司

近年,金属材料が使用される環境は多様化し,使用環境と金属材料の相互作用により生じる腐食・劣化現象やその要因も複雑化する傾向にあります.様々に異なる腐食の要因を把握して適切な防食対策を施すためには,腐食現象を基礎から理解することが必要とされます.本講座では水溶液が関わる腐食を理解するために不可欠な平衡論や速度論を中心した基礎理論,ならびに鉄鋼材料や非鉄金属材料で生じうる腐食の機構について学びます.