2002年Impact Factor
Mater. Trans., JIM 1.823
Mater. Trans. 0.841
修正Impact Factor 1.231
日本金属学会誌 0.598

日本金属学会出版論文集のインパクトファクターに関して

Materials Transactions 編集委員長川 添 良 幸*
日本金属学会誌編集委員長丸 山 公 一

最近,研究者の業績評価が広く行なわれるようになって来た.その功罪に関しては,多くの議論がなされているところであるが,本学会としては,そこで客観的な基準とされているインパクトファクターが学会出版論文集の価値という意味で,極めて重要な数値であると認識せざるを得ない.インパクトファクターは,各出版物に関して過去 2 年間の総引用回数を論文数で割った値である(図 1).すなわち,多くの引用回数を持って論文の学会・社会への貢献度とする考えに基づくものである.それを調査しているのは米国の ISI 社であり,その提供する SCI(Science Citation Index)の値をもって,標準のインパクトファクターと認定されている.ゲノム関係に止まらず,ここでも,米国主導はすさまじいばかりである.


図1 Impact Factor の定義について.

やはり,著名な雑誌に関しては,インパクトファクターは極めて大きい値を示す.例えば,Nature や Science は30程度の値である.医学・生物系は一般に高い値を示しているが,物理系や材料系では研究者の数や総論文数がそれらに比べて少ないこともあり,Physical Review Letters が最大で 7 程度,Physical Review B が 3 程度である.特に材料系に限れば,1 を超えている雑誌は極めて限られている(例えば MRS Bulletin が3.242, Scripta Materialia が1.168, Journal of Alloys and Compounds が1.014等)この中で,Materials Transactions の1.231という値は,大変な健闘ぶりであり,十分高い評価を得られると判断される(図 2).ちなみに,インパクトファクターが 1 を超えた雑誌の掲載論文のみを論文として考慮するという研究者評価を行っている機関もあり,今後ともインパクトファクターが 1 を超えるための努力は継続しなければならない.もちろん,最低でも ISI 社の雑誌リストには載らなければならない.中国清華大学では,ISI 社の論文リストに載っている雑誌に載った論文のみを論文と認めている程である


図2 Materials Transactions および日本金属学会誌のインパクトファクターの返遷.

日本語の雑誌となると,研究者数が世界の十分の一程度になってしまうので,インパクトファクターが 1 を超える雑誌は見当たらない.ISI 社の論文リストに記載されていない学会誌も多くある.それらの中で,本会誌の0.598という値は,極めて高いと言える.これは我が国の金属材料研究が活発に行われていることを反映している.この高いインパクトファクターを維持するには,和文誌であっても,英文で書かれた概要と図や表の中で,十分価値ある情報を外国人読者に伝えるよう著者に努力してもらう必要がある.sd

研究者にしても,評価をされるとなると,当然,対策を考えるのが常である.こうして,研究者は,論文を書けば,インパクトファクターの高い雑誌に投稿するようになる.一極集中が加速的に行われる.研究は国際的に行われるが,そこから発生する権利は著者の所属する国のものでなければならない.例えば,米国物理学会誌は,著者に著作権を委譲するように要求するが,米軍の関係する論文の著作権は別扱いである.これに反発したのか,欧州では別の雑誌として Euro Physics Journal を出版し,そこに良い論文が多数掲載されるようになっている.我が国の研究者は残念ながら,まだそこまでの意識はないようである.こうして,具体的に,本学会の出版物のインパクトファクターを上げる方策を検討する必要がある.我々は,本会の会員に,極力,自分の所属する学会の学会誌に掲載された論文を引用するように勧めたい.この件に関しては,種々の意見があるところであるが,上述のような事情は,ある意味で学会にとって緊急事態である.日本金属学会の Materials Transactions, JIM を,我が国の全ての材料系の共通欧文誌 Materials Transactions とし,材料系諸学会の参加を募り,現在は 7 学協会で共同刊行しているのも,この危機感からである.我が国が今後とも材料研究立国であり続けるため,学会誌のインパクトファクターが向上し続けることを期待して,ここに会員の皆様のご協力をお願い申し上げます.また,未だに Materials Transactions に参加されていない材料系学会の共同刊行への参加による更なるインパクトファクター増加を期待しております.

(2003年 7 月30日受理)
(*連絡先:〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学金属材料研究所)